忙しくなればなるほど、気持ちを落ち着けて、耳を研ぎ澄ますような時間が欲しくなります。
時には、どこかに書き留めておきたかった音楽の「原点回帰」録を。
“早すぎた”天才
谷口崇さん。
中学時代に偶然知ってかれこれ15年ほど追いかけているミュージシャンです。
かの椎名林檎さんと同郷で、林檎嬢から多大なるリスペクトを受けているお方。(一昨年末のライブにおいても、スペシャルゲストとして谷口さんが招かれていました。)
椎名林檎さんもカバーしている曲、『秘密の海』↓
まぶしすぎるサッカー少年達や”不良”集団の輪に入りそびれた、中学時代の山口少年。
楽しみは、一人ラジオ番組作りや宅録にのめり込んだり、今はなき音楽誌『ザッピイ』や『J-ROCK MAGAZINE』を読み耽って気になる新譜をチェックすることでした。(文字にすると、恐ろしくモテなさそう・・・)
当時の誌面で「期待の大型新人」とパワープッシュ(死語?)されていたのが、谷口さん。
ザッピイの付録CDで『エブリィ・every』を聴いた時、シンプルなコード進行ながら”ひと味”違う世界観に「なんじゃこりゃ!?」と衝撃を受けて、すっかりハマってしまったのでした。
なかでも、セカンドアルバム『becoming』は間違いなく日本のポップス史上に残る名盤。
椎名林檎さんはこのアルバムをはじめて聴いたときに、「完璧じゃん」と思ったそうです。
が、セールスは全く振るわず。
人気絶頂にあった林檎嬢も、音楽ビジネスの残酷さに大きなショックを受けたそうです。
「枯れないコンテンツ」を創る
ストーカー的にブログをチェックしていますが、谷口さんは今も現役で活躍されています。
「音楽で食っていけなくなった」と告白してしばらく渋谷の蕎麦屋さんで働かれていましたが、そのお店は辞め、また少しずつ音楽活動を再開されているようです。
アルバム『becoming』は1998年発売。ずいぶんと「古い」商品のように感じます。
けれど、聴くたびに発見がある。変化がある。
”中坊”の自分と、少し歳を重ねて家庭も持った自分が、同じコンテンツに全く違う感慨を持って向き合っていることは考えてみれば不思議です。
数珠つなぎの連想。
ひとつは、今お手伝いさせて頂いているビルのネーミングご提案で、クライアントから「10年後に古びないんはAとBどっちやろな」と言われたこと。
もう一つは、ライティング教室をさせて頂いているネットビジネス運営者さんのお話。曰く「ビジネスの枠組みは変わっても良質なコンテンツ(文学テキスト等)は形を変えて残る。それが”枯れない”コンテンツ」。
後戻りなき日常の中で、歳を取らず存在し続ける「コンテンツ」。それはまるで、向き合う人を映し出す鏡のようだと思えてきます。
今日の一句
笹の葉に 耳そばだてよ 氷雨降る
ささのはに みみそばだてよ ひさめふる
季語:氷雨(冬)
気候の変化は、自然の「音」も変化させます。
氷雨(ひさめ)は、雪混じりの雨、もしくは雨混じりの雪。
降り始めたとたん、あたりの空気も草木の表面もきゅっと引き締まり、笹の葉はさらさらと美しい音を奏でます。
becoming という曲は椎名さんが引っ張りだしてくれなければ知れない曲でした。
そこから谷口氏の存在を知りましたが調べてもあまり情報がなく、こんな風にブログの記事を見つけられて嬉しいです。
この曲はどうにもできないような悲痛さを完璧に表していて身動きがとれなくなるような雰囲気があります。
コメントありがとうございます。
正直このブログの中で最も異色と言って良い記事で、まさかこんな風に反応をいただけるとは思っていませんでした。こちらこそ、お仲間?が見つかり嬉しく思います。
『becoming』は、ほんとうに素晴らしい楽曲ですね。重厚でエレガントなハーモニー、アンニュイな歌声と歌詞、その場を離れられなくなるような中毒性を持っていると思います。
一時期休止されていましたがまた音楽活動を再開されたようで、なんだか勇気付けられるような気持ちです。
サイトを覗いて知りましたが、10月に20周年の全国ツアーを行っていたのですね。関西にも来ていたのに残念・・・。
↓マンツーマンの楽曲制作補助なんて贅沢ですね。東京にお住まいの方が羨ましい・・・
https://taniguchitakashi.jimdo.com/lesson/