日本の田舎に、いま何が起こっているのか。
アカデミックな領域からも注目が集まってきているようです。
学生たちとの出会いと自己の振り返り
今年の夏ごろ、早稲田大学へ進学したい高校生が相談に来た件は記事にしました。
その後も、大学生との出会いが続いています。
①早稲田大学理工学部建築学科4年生 研究テーマ「クラウドファンディングを活用した古民家再生」
電話取材を希望。
「どうやってうちのことを知ったの?」
と聞くと、「ネットで見まして・・」。
クラウドファンディング実施時の情報がネット上に残っており、そこからたどり着いたそうです。
「クラウドファンディングを実施する前の準備」
「知り合いと新規支援者の割合」
「実施してみてどんなメリットがあったか」
などの質問に対して、時系列をたどりながら工夫した点や苦労した点を説明しました。
クラウドファンディング、3種類の補助金申請、建築スケジュールの把握、施設の利用プラン調整等、オープン前はいろんなことが同時並行。
「思えば大変でしたね・・・」
今となってはまるで他人事のように、そんな言葉が口をついて出ました。
ひと通り質問が済んでからは、逆質問タイム。
「ピークは過ぎてますよね?」
「他の都道府県ではどんな事例がありましたか?」
「この分野のクラウドファンディングって、実際のところ目標達成率はどれぐらいなんですか?」
関心のある話題についてあれこれヒアリング。
完成したら論文を見せてもらうことを約束して、電話を終えました。
「研究」のフィールドには、きっと現場のわたしたちにはない視点や情報が蓄積されているはず。
”血と汗と涙の結晶”である卒業論文を読ませてもらうのが今から楽しみです。
②京都大学農学部4年生 研究テーマ「農村での新しい働き方」
11月中旬、kajiyanoサイトの問い合わせフォームからメッセージが入りました。
件名は「卒業論文の取材のお願い」。
兵庫県のサテライトオフィスやSOHOオフィスについて調査しており、「オフィス開設の際の事情やこれまでの活動、また地方で働く中での感想」について是非インタビューしたいとの内容でした。
取材される側ながら、「また面白い話が聞けるかな」という期待もあり、二つ返事でアポイント調整しました。
迎えた当日。
時間どおりに現れた前田君は、わたしが勝手にイメージしていた通りの真面目そうな好青年でした。
長谷が寒波に見舞われた1日。
「JR長谷駅から歩いてきました」
そう話す表情から、「最寄駅」との距離を実感したことが伝わってきました。
雑談がてら、素朴な疑問をぶつけてみました。
「なんで農学部でオフィス研究?」
「ええと、”日本の農村”が入り口で・・・」
「農村社会学というジャンルがありまして、いわゆるイエの問題や都市と農村の包括的な関係性などを考えていくんですけど・・・」(たぶんニュアンスしか合っていません)
突如として、kajiyanoにアカデミックな風が吹き抜けました。
切り口こそ毎回違えど、最終的には私たち自身についての話になります。
移住当初の考えの甘さ、新しい環境に適応するためのトライアンドエラー、貧乏生活、複数の救世主との出会い、山口貴士事務所開設以降のご縁と幸運の数々、古民家再生kajiyanoプロジェクト、今後の夢、ヤギの可愛さ・・・
お話するたび、これらがたった3〜4年の出来事だなんて、信じられないような気持ちにもなります。
どれくらい研究テーマに沿った話だったかは心もとありませんが、「山口さんたちのお話、めちゃめちゃ面白いです」と言ってくれたのでおじさん嬉しいです。
前田君は、農学原論研究室というゼミに所属。(秋津 元輝ゼミ)
この研究テーマで大学院へ進学する予定だそうです。
日本を代表する学府の研究者として、農村に元気と気づきを与える存在になってくれることを願います!
ヤギも飼いはじめ、なかなか思い切った遠出が難しくなりつつある今、長谷に居ながらにして都市部のナレッジを共有してもらえるのは本当にありがたいこと。
地道にネットで発信し続けてきたことで、思わぬところで都市部とのネットワークが生まれるようになってきたように感じます。
しんどいこともあるけれど、日々のすべてが種まき。
自分たちよりも若い世代に楽しい話を一つでも多くできるよう、初心を忘れず暮らしていきたいと思います。
今日の一句
感嘆の 一語の漏れて 息白し
かんたんの いちごのもれて いきしろし
季語:息白し(冬)
「え!」
「こんなロッジがあるなんてすごいですね!」
帰り道、カクレ畑を経由すると、大きな声をあげて驚いていました。