雲去りて光を受くる注連飾

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞお付き合いください。


新春の生活と注連飾りの思い出

 

平成最後のお正月。

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

わたしはといえば、家族親戚の集いに毎年恒例の同窓会。

若干のアルコールのダメージを抱えながら今日は長谷です。

 

姫路界隈の初売りの雰囲気にいわゆる人酔いもする時節。

車で北上し、市川北ランプあたりの市川流域の景色を見ると「帰ってきた〜」とホッとします。

 

年賀状、消防団の年末警戒、大掃除、年迎え、注連飾り…etc

例年どおり忙しい年末。年の瀬。

突如、妻から提案がありました。

 

「わたし、メガネ作るわ」

 

もちろん視力矯正”眼鏡”のことではありません。

注連飾りの種類です。

しめ飾り・しめ縄の意味と飾り方 ~種類・向き・飾る場所・時期~||All About

 

「多分な、自分でできる気がするねん」

 

注連飾りについては、わたしたち夫婦の先生と呼べる方が村にいました。

「いつでも教えちゃる。寒い日やなかったらいつでもえぇ」

長谷で暮らし始めて2年目に、縄ゆいやメガネのしめ飾りを。

翌年には、縄結びを。

うっすら眠気を誘うような陽気の中、筵を敷いた納屋でゆっくり手ほどきしていただく時間はなんとも贅沢なものでした。

当時

 

ある時、興味のありそうな知人たちにも声を掛けてワークショップをしてもらえることに。

しかし当日、約束の時間に訪ねたもののあいにく留守。

 

「すまんかったな、病院行っとったんや」

後日、ちょっと決まりの悪そうな笑顔で言われました。

 

2017年の寒い冬を越え、2018年春。

気候はだんだんと穏やかになるものの、総会など行事の多い4月に田植えの5月、梅雨の6月・・・

「自分の仕事が落ち着いていて、なおかつ天気が良い時」

天災に振り回された年でした。

タイミングを狙うものの、どんどんと先になるばかり。

 

夏が過ぎ、秋へ。

水害、台風、米の収穫の遅れ、、、

「なんとか年内に注連飾り教えてもらえたらえぇな」

そう話していた矢先に、訃報が飛び込んできました。


もう二度と、直接教えてもらうことはできません。

生前の経緯をお話していたご親族から藁を柔らかくする木槌を形見にいただいたものの、あの”メガネ”もロープワークも、自分で再現することは難しいと感じていました。

 

そんな中での、冒頭の妻の提案。

実は、奈央のほうが見込みがあると先生から評価されていました。

 

「そうか・・・ほなとりあえず、俺たたくわ」

「うん、あとはわたしやってみるから!」

自分たちの田んぼの稲藁。もち米のほうが背丈があり結いやすいそうです。

 

片側を時計回り、もう片側を反時計周りでねじります。

わが妻ながらたくましいもので、宣言どおり30分ほどで一つ目が完成。

「納得いかない」と、さらにもう一つ製作。

はみ出た部分を掃除します。バーナーが手元に無かったのでライターを使用

 

一つは自宅の母屋。

南天の葉や柚子を添えるなど妻独自の解釈も加えて、無事にオリジナル注連飾りが完成しました。

もう一つはkajiyano

これはこれで面白いとは思いますが、やはり先生の作に比べると数段の見劣り・・・

 

「まだまだやのぅ」

あの笑顔で、言われてしまいそうです。

 

今年も無事に新しい年を迎え、たしかな生命があることに感謝するばかりです。


今日の一句

雲去りて光を受くる注連飾

くもさりて ひかりをうくる しめかざり

季語:注連飾(新年)

日差しもあるあたたかな正月。

見よう見まねで、文化の背中を追います。

2件のコメント

  1. 神戸新聞地方版、見ましたよ。
    自家製の注連飾りって、いいですね。
    制作過程の画像を拝見していて、そういえば死んだ親父が、足の拇指と第2指の間に藁を挟んで、引っ張りながら編んでたなあと、懐かしく思い出しました。
    今年も情報発信、楽しみにしています。

    1. 神戸新聞記事を読んでくださったとのこと、ありがとうございます。(次回記事で触れます)

      足の指も使うのはより高度な方法でしょうか。体が覚えていらっしゃったのかと。
      (亡き師匠に「どうやって覚えたんですか?」と聞いたら、幼少期からの見よう見まね、という答えでした)

      貴重な学びの日々です。

      いつも更新が遅くなり(今日もまた)恐縮ですが、本年も当ブログをよろしくお願い致します。

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