こどもを守る”地蔵さん”への奉納の日。
各集落で地蔵盆が執り行われました。
一年の節目となるお祭り
地域の方とスケジュールの話をしていると
「8月は地蔵盆があるからなぁ」
と、節目の行事としてこの名前が出てきます。
わが大川原集落では、例年8月の23日に実施。
集落によっては、24日あるいは前後の土日に行うところもあります。
男性陣も女性陣も朝から準備に取り掛かり、男性陣は櫓や竹串づくりからお堂まわりの剪定、女性陣は餅花や宴の食事づくりなどで大忙し。
昼食後、休憩をはさんで和尚さんが来られる18時ごろに集合します。
お堂での読経ののち、移動して路傍のお地蔵さんにもひとりずつお祈り。
その後、お酒と食事の”奉納”に移ります。
女性陣手作りのおでんは絶品!
ビールを流し込めば極楽のひとときです。
この日は気のせいか皆さんお酒のペースが早く、序盤から日本酒も。
だんだんと話し声や笑い声が大きくなっていく中で、BGMが投下。
「月が~ァ~、出た出ェたァ~」という炭坑節のほか、地域のオリジナル音頭である『テントラ節』が登場すると
「おぉ、来たな!」
という感じで場がざわめき、ひとりふたりと踊りの輪が広がってゆきます。
わたしも見よう見まねで踊ってみるのですが
「腰が据わってないからカッコようない」との評価でした。
集落ごとに特色のある地蔵盆
明けて24日。
やや二日酔いの脳で日常に戻りました。
炎天下の撮影ロケハンを終え、くたくたになりながら帰路へ。
自宅がもうすぐそこというところまで来た時に、何やら楽しそうな提灯の灯りと屋台が見えてきました。
おとなり本村集落の地蔵盆です。
お世話になっている方の顔が見えたので、いったん車を置いてから少しだけ立ち寄ってみました。
すると、屋台は青年チームが切り盛り。
生ビールは破格の300円!
消防団でおなじみのメンバーが勢ぞろいで話に花が咲き、つい何杯もおかわりしてしまいました・・・。
地域の長老のお話では、昭和30年ごろまでは砥峰高原側の川上集落まで”ハシゴ”することもあったそうです。
中には仮装をする人もいて、明け方まで飲めや謡えの大騒ぎ。
そのまま朝を迎え、牛のえさとなる草を苅りに行っていたそうです。
そんな歴史に想いを馳せると、今ある祭の姿にいっそう味わいが感じられます。
今日の一句
里唄の しゃがれ声なる 地蔵盆
さとうたの しゃがれごえなる じぞうぼん
季語:地蔵盆・地蔵会(秋)
旧大河内町ゆかりの音頭『テントラ節』。
テープに吹き込まれた名手の声が、まだ暑さの残る秋空いっぱいに鳴り渡りました。