鈴虫の夜にしたためる手紙かな

前に進むために、何かを手放さなければいけないこともあります。

妻の大きな決断です。


『谷間の家さんきら』リラクゼーションサービス休止

『谷間の家さんきら』では、2014年以来、旧蘆田邸の離れにて苔庭を望みながらのリラクゼーションサービスを事業の軸としてきました。

「古民家でマッサージ」

そんな見出しで地域欄で紹介してくださった神戸新聞をはじめ、まるはり、ラジオ関西などさまざまなメディアで紹介。

兵庫県内を中心として、ときに東京からの利用もありました。

(いまだに、はじめて出会った方から「新聞に載ってたところやね」と言われることが少なくありません。)

「奥さんがセラピストなんて、最高じゃないですか!」

と肩こりや腰痛持ちの方から特に羨ましがられますが、残念ながらわたしはコリや体の痛みとはほぼ無縁。

「やり甲斐がない」

という理由で、本場タイ仕込みの技の恩恵はまったくと言って良いほど受けていません。


セラピストのスキル×趣きある古民家の離れと苔庭。

彼女ならではのサービスだと結婚前から思ってきましたし、結婚してからも、わたしが起業してからも、それは変わりません。

けれど、長谷で暮らし始めてから構想を練り続けた「人が集う場づくり」=kajiyanoプロジェクトに注力していくことを考えると、今までと同様のサービスの提供は難しいのが現実。

熟慮と葛藤の末、「離れ」でのリラクゼーションサービスをいったん休止するという結論に至りました。


母と子の夢が詰まった場所

妻の祖母が体調を崩して離れてから、蘆田の屋敷は10年以上空き家になっていました。

タイでの修行の後、東京のホテルや高級老人ホームなどで経験を積んだ妻が地元兵庫に戻ったのが2011年。

2012年7月にリラクゼーションサロンとして『谷間の家さんきら』が誕生しました。

「空き家に風を通したい」という妻の想いと、義母の生家への愛着。

かつて柏餅のように餅をくるむのに使われた「山帰来(さんきらい)」という植物が長谷では「さんきら」と呼ばれていること。

田舎でゆっくりくつろぐという雰囲気が感じられる「谷間の家」というキーワード。

母子のいろんな想いとアイデアが重なって、ちょっと不思議な名前が誕生したのでした。


それから4年あまりの月日を経て、今その場所がひとつの節目を迎え、新たな出会いがこの広大な敷地に生まれようとしています。

リゾートオフィス&コワーキングスペース『kajiyano』は、いよいよ着工間近。

山口夫婦の正念場がやってきました。


今日の一句

鈴虫の 夜にしたためる 手紙かな

すずむしの よにしたためる てがみかな

季語:鈴虫(秋)

鈴虫の鳴き声が静寂を際立たせるような、秋の夜。

これまでの感謝と今後の抱負をお客さま宛にしたためる妻の姿がありました。

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