薄闇に獣逃げ込む十三夜

せっかくの田舎暮らし。

器用でなくとも、広い意味での”仕事”をたいせつにしながら過ごしたいと思います。


日々の仕事と向き合う。

「仕事をきっちりせんと遊べなくなる」

村の先輩がおっしゃっていた言葉が頭の中でリフレインしています。

この場合の”仕事”は、オフィスでパソコンをカタカタしたり得意先に営業の電話を入れたりする行為とはちょっとニュアンスが異なります。

たとえば、米づくりをはじめ時期ごとに「適時」のある農作業

そのほか、家まわりの石垣や草、道具の手入れなど日常的に行うべき作業もあります。

そのどれかが疎かになると、だんだんと生活が上手く回らなくなってくる。

半年ほど、そんな経験をしています。


つい最近、久しぶりに家でひとり過ごすことになったある一日のこと。

妻と一緒にいるとつい会話がはさまってしまうのですが、ひとりなので黙々と作業に打ち込むほかありません。

するとあっという間に本業の仕事にひと区切りがつき、以前から気になっていた家まわりの手入れへ。

やりだすと、どんどん没頭して気づけば外は真っ暗。

 

 

農機具をしまう納屋の整理。

かんぴょうの種とり。

勝手口の雑草抜き。

玄関の掃き掃除と蜘蛛の巣とり。

 

「こんなにもほったらかしにしていたなんて・・・」

と自分で自分が情けなくなるとともに、ひとつ終えるたびに爽快な達成感がありました。

 

移住当初は、日常のかなりの部分を占めていた仕事群。

「最近、忘れていたなぁ・・・」

と、ちょっと遠い目になりながら原点回帰した気分でした。

 

建設中のオフィス兼コワーキングスペースが完成したら生活が様変わりしそうですが、原点を忘れず、種々の”仕事”に邁進したいと思う秋の夜です。


今日の一句

薄闇に 獣の惑う 十三夜

うすやみに けもののまどう 十三夜

季語:十三夜(秋)

「名残の月」とも呼ばれる、旧暦9月13日の夜の月。

ひんやりと冴えわたる空気を吸いがてら勝手口を出ると、獣の逃げ去る音が聞こえました。

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