師走の大掃除。
思いがけず、ご先祖さまの神棚と向き合う時間が生まれました。
古民家の年末大掃除 神棚篇
囲炉裏のある板間にひとつ。
掘りごたつのある畳の間には二つ。
母屋をご覧になった方からは、「神棚が立派に飾ってありますねぇ!」と驚かれることがしばしばです。
わたしたちも、
「立派だなぁ」
と思いながら日々気に掛けてはいるのですが、榊がしおれていたら交換したり、気が付いたらハタキがけをしたりといった程度の手入れはしても、その中を開いたことはありませんでした。
(ちなみに今回知りましたが、榊を供えるのは「栄える木」だからなのですね)
年末の大掃除をするにあたり、「今年こそは!」と思い立ち、神棚を分解して掃除することにしました。
日本のものづくりの極致、そして日本の知恵。
手に取って降ろしてみると、間近で見るきめ細やかな造りに驚き。
まるで、ドラマ『下町ロケット』において、はじめて佃製作所を訪れた財前部長状態です。
それは良いのですが、、。
そのきめ細やかなすき間に、旧蘆田家の歴史を感じる、煤(すす)の汚れがビッシリ・・・。
土間で火を使っていたころの暮らしに想いを馳せつつ、途方に暮れたのはいうまでもありません。
しかし!
その長い年月のあいだ、人類は進化を止めてはいません。
こうした難局を乗り切るための知恵がしっかりと蓄積されていました。
掃除フリークにはおなじみの、マツイ棒の登場です!
女優・松居一代さんが考案された、爪楊枝や細い棒に布を巻き付けて輪ゴムでくくるお掃除アイテム。
これ実は、玄関の格子ガラスやこまかい模様が施された建具の掃除に大活躍なんです。
ご自分の発明が古民家を救っているとは、松居さんにとっても嬉しい驚きではないでしょうか。
背中を丸め、黙々と神棚の細部を磨き続けること約2時間、3つの神棚どれもがぱっと明るい表情になったのでした。
神棚掃除の手順
以下、3つの中でもいちばん大きな、五社造りの神棚の掃除フローです。
今日の一句
神棚の 金具清める 冬籠り
かみだなの かなぐきよめる ふゆごもり
季語:冬籠り(冬)
神棚のあちらこちらに残る煤は、自然の火で暮らしていたころの名残。
おそるおそる布で拭き取っていくと、みごとな金細工が輝きを取り戻しました。