敷地内に新設するリゾートオフィスkajiyanoの立ち上げ準備はひと区切り。
入れ替わるようにして、山口貴士事務所が慌ただしくなってきました。
ことばを売る?
「本業は何なの?」
とよく訊かれます。
「コピーライティングを中心にした広告制作業です」
これがいちばん過不足のない答えなのですが、いまひとつピンと来ない顔をされます。
広告コピーは、ざっくり言うと「価値を定義づける短いことば」です。
あまりの短さに一瞬キョトンとし、しばらく沈黙が続いてから深くうなづきながら口を開く―。
提案が通るとき、お客さんはだいたいそういった反応をされます。
仕事の8割はヒアリングとリサーチです。
最終的なアウトプットが仮に20文字だとしても、その20文字を導き出す(「作る」訳ではありません)ために、
経営者様へのヒアリングからはじまり
競合他社の動き
社会・経済の情勢(時代の気分)
クリエイティブのトレンド
などをひとつひとつ検証していきます。
またキャッチコピー(「バカは強いですよ。おりこうさんより、ずっと。」)やタグライン(「つながりやすさNo.1」)が独立して存在するケースはまれなので、たいていはビジュアルと組み合わせたときのイメージも添えてプレゼンテーションします。
ヒアリングの過程では、ほぼ例外なく経営者様ならではの悩みを聞かせていただくことになります。
日本経済の動向による本業への影響、採用や人事制度の難しさ、業態転換のタイミング―
もちろん自分で調べられる範囲のことは調べてからアポイントに臨みますが、自分は働いたこともない未知の世界。毎回とても勉強になります。
また話の内容が内容なので、相談を受けていくうちに新サービス業態の名称や会社名の提案を求められることも。
もしかしたら近い将来、名刺の肩書きが変わっていくのかもしれません。
産みの苦しみと誕生のよろこび。
納品するコピーが固まるのは、たいてい決まって提案前日の晩。
「今回はほんまに無理かも」
投げだしそうになる瞬間が必ずと言っていいほどやってきますが、勝負はここから。
不思議なもので一度白紙に戻す気持ちになると、ぽろぽろとアイデアが降って来たり霧が晴れたりします。
これもひとつの断捨離で、捨てないと入ってこないということなのかもしれません。
精神衛生上あまり良くはありませんが、作業プロセスも含めて「嫌いじゃない」仕事で人に喜んでもらえるのは本当にありがたいこと。
2016年後半、頑張ります。
今日の一句
白鷺の しばしとどまる 青田かな
しらさぎの しばしとどまる あおたかな
季語:青田(夏)
遠くを見つめながら、青々と茂る田んぼで羽根を休める白鷺の群れ。
もしかしたら、ひらめきのおとずれを待っているのかもしれません。