向き合ひて膝に手を置く炬燵かな

一度きりの人生、みずからが習得できるものはそう多くありません。

”プロフェッショナル”との出会いを楽しみたいと思います。


餅は餅屋

12月8日に新施設オープン。

それに向けて11月中には工事や物品の購入を完了させなければならないのですが、ゴールまではまだもう数歩。

大工さんたちもわたしたちも、やや急ぎ足でことを進めています。


今回の工事では、設計さんと相談の上、「施主支給」に挑戦しています。

「施主支給」とは、たとえば照明器具や蛇口などを自前で購入してきて、工務店さんや職人さんにそれを取り付けてもらうという方法。

変わり種のアンティーク調パーツなど好みを明確に反映することができるのが魅力です。

また、逆に一般的なブランドのトイレ機器など型が分かっているものについては、ネットで購入するなどして本体代金を安く抑えられるという場合もあります。


こう書くと施主には良いことずくめのように聞こえるかもしれませんが、問題点もあります。

たとえば、真鍮ソケットのレトロな照明に一目ぼれしたとします。

しかし、スペックの読み方や表示がいまひとつ分からず、

「うちの梁にこのソケットは付くの?付かないの?」

「26口金と27口金の違いは何?どっちが無難なん?」

と、頭の中は疑問符でいっぱい。

かろうじてネットで調べて意味は分かったとしても、微妙な判断が迫られるケースでは結局お手上げです。

前提となる知識や経験がないので、

「本来は床型のタイプだけど、場所によっては天井に取り付けられそうだ」

といった「さじ加減」は分かりません。

ましてや「応用」など利くはずもありません。


わたしの場合、音楽が好きでさまざまな時代・ジャンルにある程度親しみがあるので曲を聴けばだいたいの時代背景やルーツが想像できます。

あるいは最新の広告表現に日ごろから関心を持ちつつ、平賀源内のウナギプロモーションや酒林などの歴史的な背景にもある程度興味を持って情報収集を続けているので「勘」はあると思います。

しかし、改修工事にかかわる職人さんの世界に足を踏み入れると「ザ・素人」

基礎。

水道。

電気、照明。

建具。

屋根。

ガス。

そもそもの「仕組み」も分からずその仕事ぶりに圧倒されるばかりで、

「この器具をここに入れることって出来ますか?」

と、先方にとってストレスでしかないであろう質問を度々しなければならないのは心苦しいものがあります。

逆に、

「分からないので、この部分は良いようにやってください!」

と伝えるときには、どこかワクワクした気持ち。

職人さんの表情にも張りが生まれている気がします。


将来家を建てるとしたら(可能性は低いですが)

「お任せします」

と言える場面をなるべく多く作れたらと思います。


今日の一句

向き合ひて 膝に手を置く 炬燵かな

むきあひて ひざにてをおく こたつかな

季語:炬燵(冬)

立ち話では済まない相談があり、職人さんと炬燵で打ち合わせ。

膝に手を置きながら身を乗り出し、分厚い手でめくられていく商品カタログを覗き込みました。

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