退き際に残る想いや春隣

年度の変わり目に迎える試練。

「世代交代」の難しさを想います。


「消防団員」は何歳まで?

 

去る平日の夜。

神河町消防団長谷部(はせぶ)の若手消防団員による緊急ミーティングが行われました。

テーマは

「定年後の延長在籍をどう考えるか」

ナーバスな内容だけに、慎重に議論が進められました。


神河町消防団では、消防団の定年は40歳と定められています。

かつては「25歳入団→40歳定年」が規定ルート。

退職金は15年勤続者のみに支給されるルールだったそうなので、途中入団/退団が基本的に想定されていなかったのだと思います。

その後、入団年齢を5年前倒しに。

現在、神河町消防団全体では「20歳入団→40歳定年」が基本となっています。

”分団に所属する者は、満19歳に達した日以降における最初の4月1日から39歳に達した日以降における最初の3月31日までとする。ただし、分団の事情により団長が特に必要と認めたときは、入団年齢の繰り下げ若しくは繰り上げ又は退団年齢の延長を行うことができる。(神河町消防団条例施行規則 第3条)”

※退職金については、15年単位から10年、5年と中途の入退団にも対応するようになってきているそうです。


過疎化が進む東北のある地方では、人員がおらず終身勤務のようになっているという噂も聞いたことがありますが消防団員の人手不足は全国的な課題。

明らかな高齢化傾向です。

↓衝撃のデータが満載。。。

消防団に関する数値データ(消防庁)


旧長谷分団では、先輩方の決断により独自に定年を引き上げ「45歳定年」としています。

町外通勤との両立やプライベートへの影響など

「消防団員になるデメリット」を数え上げるときりがないのは事実です。

ただでさえ地元の若い人が減っている中で、下記のような負のスパイラルがしっかりと成立しています。

 

若手ほど消防団に入りたがらない

自分が抜けると人が減るのでベテランが辞めにくい

ベテランが残る

若手にとって入団のハードルが上がる

若手が入りにくい


そんな時代にあって、所属する若手消防団員にとって先輩がたは「兄貴」あるいは「父親」のような存在であり、大きな支えです。

「おってもらえるだけでありがたい」

というのが感情的な本音ですが、だからといって、いつまでも若手が先輩がたを引き留め続ける訳にもいきません。

「もともと長谷部は町の規定よりも定年を伸ばしているのだから、十分に貢献している」

会議の中ではそんな意見も出ました。

 

「残ってもらえたら心強いけど、現状のルールを尊重し、どこかで一線を引かなあかん」

検討の末にたどりついた、現時点における方向性。

これまでどおりの仕事がこれまで通りに出来るかは分かりませんが、残っていくメンバーで継続的な組織運営を考えていかねばならないのだと思います。


今日の一句

 

退き際に 残る想いや 春隣

ひきぎわに のこるおもいや はるどなり

季語:春隣(冬)

組織の一員として過ごした年月、地域への想い、後輩たちへの想い—

いざ身を引くとき、きっとそれらが走馬灯のように駆けめぐるのだと思います。

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