「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」という池田澄子さんの有名な句がありますが、何の因果でこの身に生まれてきたのかと日々哲学している生き物のひとつが、カメムシではないでしょうか。
カメムシの種類
カメムシの存在は、いわば田舎の風物詩です。イギリス人が「今日は良い天気だね」と挨拶するように、春と秋には「お宅、カメムシどない?」が鉄板のトークテーマとなります。
ちなみに「カメムシ」は総称で、厳密には亜種が何万種類(!)もいるとの説も。見た目も本当にさまざまです。
<参考にさせて頂いたHP>
ティティの昆虫図鑑「カメムシ」 ※下記2点の画像を転載
あの臭いさえ出さなければ・・・
カメムシといえば、何といってもあの強烈な臭い。あまりに臭すぎて、自分の臭いで失神することもあるそうです。(たしかソースはトリビアの泉)
オーストラリアから団体さんがいらっしゃった際のこと。
たどたどしい英語で囲炉裏や火鉢の説明をしていた時にカメムシの話題になり、思いつく単語を並べて
「Sometimes They are dead…by own smell!」
と言ってみたら、一同「HAHAHA~」とお腹を抱えて笑ってくれ、この時ばかりは彼らに感謝したものでした。
あの臭いの主な目的は外敵から身を守るためだそうですが、人間に対しては、不快感と怒りは買っても攻撃にはなり得ません。
たまにすばしこい子もいますが、基本的には動きも反応も鈍く、「捕まえて」と言わんばかりの無防備さです。
カメムシと闘う。
日々議論が交わされるのが、その撃退方法。
①ガムテープで窒息させる
②お茶缶で真空状態にする
③ペットボトル等に張った油に入れる
あたりが定番でしょうか。(改めて文字にするとキツイものがありますね・・・)
当初は②派の妻の目を盗みこっそり庭に逃がしていた私も、最近ではすっかり①に落ち着いてしまいました。
慣れとは恐ろしいものです。
<追記:2014/11/14>※唐辛子の焼酎漬けスプレーやハッカ油のスプレーも効果があるそうです!
今日の一句
亀虫の 誘い出されし 陽の溜まり
かめむしの さそいだされし ひのたまり
季語:亀虫(秋)
民家に生息するカメムシは本当に短命ですが、私がいつも悲しく思うのは、目につくところに現れなければ何も起こらないのに、彼らが「あたたかく」「明るい」場所が大好きだということ。
少し肌寒くなるこの時期、縁側や畳の陽だまりに誘われる気持ちはよく分かります。
ただ、出会った以上は、こちらも見過ごす訳にはいきません。視界に入ってからガムテープを手に立ち上がるまで、最近では0コンマ何秒の世界です。
その一方で、こみ上げてくる罪悪感。
「こんなことなら出会わなきゃ良かったのに・・・」とまるでトレンディドラマの別れのシーン、もしくは「許してくれ・・・」と泣く泣く身内に手錠を掛ける人情刑事の一幕です。
身勝手な殺生に複雑な思いを抱きつつ、カメムシと格闘する日々は続きます。