客人の背の照らされて柿紅葉


今年大量の実をつけた甘柿の木が、紅葉してきました。

晩秋になり色づいてくる柿の葉を、「柿紅葉(かきもみじ)」といいます。

かつて中国において、紅葉に詩を書いてせせらぎに流すという風習が存在し、そこから恋が成就することもあったことから日本でも「柿の紅葉」に恋文を書いて贈る習慣が生まれたんだとか。

【参考】奈良県公式HP 「柿紅葉に恋の願いを」

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「最近の若い人はすぐメールで済まそうとする」と言われたのは少し昔。スマホの登場でますます長文は読まれなくなり、文字を書かなくなり、そしてついには”想い”すらスタンプという「記号」で送り合う時代になりました。

意中の人を振り向かせるため、文章を練るだけでなく「台紙」にも自然の趣向を凝らしていた先人が見たら、きっと延々説教したくなることでしょう。


昨日、はるばる福井県から二人連れの女性がいらっしゃいました。1泊2日の小旅行で、車で片道3時間半!(『谷間の家さんきら』のことは神河町HPでご覧になったそうです。)

なんでも、一年前に関西系列局のワイドショーにて週末特集として「砥峰高原」が紹介されていたのをご覧になり、その週末に行きそびれて結局一年後になったそう(笑)

観光協会HPより
観光協会HPより

「砥峰高原」をめざしてこられた女性と出会うと、なかば条件反射的に「マツケンのサンバじゃない方ですか?」「岡田くんですか?」という質問をしてしまうミーハー(死語)な私ですが、お二人は、「ロケ地だから見に来た」という訳では無かったようです。

「砥峰高原」の魅力、恐るべし!

高原の黄金色に実るススキは今がまさに見頃。週末だったこともあり、ホテルモンテローザはほぼ満室で、高原に登る山道は観光バスや自家用車で非常に混み合っていたそうです。地元民の特権で、近々平日の微妙な時間を狙って見に行ってみようと思います。


今回は喫茶つきのプランだったため、神河町感あふれるお菓子を探そうと思いおなじみの『楽や』さんへ相談に行ったところ、オーナーの陽子さんより、「せっかくなので例の『柿たわわ』の柿を使って今からオリジナルで作りましょうか?」と嬉しいご提案。

柿蜜や栗のペーストをスポンジ生地やクリームで包み、それを「雪見だいふく」のように薄い餅生地でくるんだ、目にも美しいスイーツ。由来を紹介しながらお出しすると、お二人とも写真を撮って大喜びでした。

そして、あろうことか肝心のスイーツを自分のカメラで撮り損ねました。

「絵」の無いグルメレポートなんて、まったく値打ちがありませんね・・・。謹んでお詫び申しげます。


今日の一句

客人の 背の照らされて 柿紅葉

まろうどの せのてらされて かきもみじ

季語:柿紅葉(秋)

陽光を受けて光る柿の木には、なんともいえない煌びやかさがあります。お帰り際、石畳にはらはら落ちる葉や紅葉のアーチがお二人の後ろ姿に重なり、まるで映画のワンシーンのようでした。

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色づく柿の木を、道路側から望む。

少し脱線しますが、柿の俳句といえば、正岡子規の「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」。冒頭でご紹介したように、今では奈良県が柿のイメージを打ち出していますが、法隆寺と柿を結びつけたのは子規の発見だったようです。「柿を食ったから鐘が鳴った」と一瞬思わせて、実は因果関係は無い、という余白の作り方が本当にカッコいいですね。

子規がこの句を詠んだといわれる10月26日が「柿の日」に認定されているのですが、今年はちょうど、砥峰高原の3大祭りのひとつ「ススキまつり」の日にあたります。

何かのご縁でしょうか。


兵庫県姫路市生まれ。早稲田大学大学院 教育学研究科 修了。専門は江戸の初期俳諧。 総合広告会社(博報堂DYホールディングス)を経て、2014年兵庫県神河町に移住。2015年起業。2020年より株式会社OFFICE KAJIYANO 代表取締役 俳句結社「姫路青門」所属

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