姫路市の新興住宅街で生まれ、18歳で東京へ出てからはずっとマンション暮らしだったので、田舎で暮らしはじめて驚くことがたくさんあります。
筆頭ともいえるのが、虫の多さ。
田舎は、とにかく虫が多い。
少し涼しくなってきたこの頃は、夜ともなれば鈴虫やコオロギの大合唱です。
鳴き声も千差万別ですが、ひときわ耳を奪われるのが
「すいぃ~っ、ちょん」
と鳴くウマオイ。
どこから入ってくるのか、囲炉裏で食事を囲んでいると、背後から甲高い鳴き声が聴こえてきてビックリすることも。
その特徴的な鳴き声から、地方によってはその名も「すいっちょん」と呼ばれているそうです。
名前の由来は、馬子(まご)が馬を追うときの呼び声が似ているので
「馬追(うまおい)」
なんだとか。
となると、「馬子の呼び声なるものを聴きたい!」と思ってきます。
エジソンが録音技術を発明したのが19世紀の終わり。
残念なことに、近代以前の日本庶民の、しかも生活の音など辿りようがありません。
ですが馬子の声はダメでも、虫の声なら話は別です。
本当に有難い時代で、心ある方々が「鳴き声のデータベース」をネット上に公開して下さっています。
辞書では調べることができない領域なので、非常にありがたいです。
存在感あふれる「声」が売りのウマオイ。
はてさてどんな顔をしているのか、と近くでじっと見つめてみると、、、なんとも優しい目。
ところが、そんなルックスなのに実際は結構ハードな肉食で生きている虫をむしゃむしゃ食べてしまうらしいです。
「見かけによらず・・・」な人、いますよね。
という訳で、今日の一句です。
馬追の 眼のやさし 硝子窓
うまおいの まなこのやさし ガラスまど
季語:馬追(秋)