想い出を色鮮やかに百日草


「ご先祖様が見ている」

頭では分かるというか、そうなのかもなぁとは思っていましたが、
ここ『谷間の家さんきら』こと旧芦田邸で暮らしはじめて
「本当にそうかもしれないなぁ」と思うようになりました。

明治維新以前の戸籍登記ははっきりとは分からないものの、
長谷の名家・芦田の血を引く分家としてこの家屋が建てられたのは、
おそらく江戸時代の終わり。
いわゆる地主さんのお家で、相当に裕福だったようです。

西の山側から芦田邸を望む(撮影時期不明)
西の山側から芦田邸を望む(撮影時期不明)

そのあたりの歴史はまだ調べている最中で今回は詳述を避けますが、
それから約150年の時を経て、不思議なご縁で
芦田家最後の居住者となったおばあちゃんの孫である妻と、僕が
「山口」の表札を掲げて暮らすようになったのです。

ちなみに、いわゆる「霊」的なものが見える人たちなどは、
「古い日本家屋には、そこで暮らしていた人たちの念が強く残っていて、
住む人間を選ぶ(すなわち、選ばれなければ・・・)」
と、おっしゃるそうですが。。。

今のところすこぶる健康に過ごせている僕は
一応、ご先祖さま達の面接をパスしたのかもしれません


また少し別の話題。

神河町には、空き家のマッチングサービス、その名も「神河町 空き家バンク」という制度があります。

実際に田舎の物件を探していた方に聞くと、他の自治体に比べても
神河町の取り組みは力が入っている印象のようです。
その申し込み状況は、つい先日役場の地域振興課の方から聞いたところによると、なんと、

300件以上!

ところが、残念なことに、家を貸したいという人がなかなか見つからないそうです。

その理由の多くが、「ホトケさんがいるから」というもの。

これは、家の中に仏壇を構え、位牌を安置し、鴨居の上に遺影を飾る、
という日本人ならではの理由だと思います。

成約したケースにおいては、仏壇をまるごと抜き取って撤去することもあるそうですが、
仏壇は隙間なくピッチリと立てつけてあるため、綺麗に抜き取るのは職人技。膨大な費用も掛かるそう。
神河町の空き家へ移住を促したい行政サイドとしても、頭を抱えている問題のようです。

ちなみに先日お会いした町外のとある住職さんにこの話をしたら、
「ホトケさんが問題なら、位牌を町が集めたらえぇやないの」
と仰っていました。

さすが、プロのご意見ですね。

 

最近は葬儀の考え方も多様になってきているようですが、
その背景には、「先祖と子孫の距離感」が変化してきていることがあるのだと思います。
我が家の場合はもちろん仏間に位牌が据えられており、鴨居の上に
歴代のご先祖の遺影を飾っていて、その顔を見上げると、
「見守られている」もしくは「守っていただいている」という感覚を持たずにはいられません。

そんな「家」の継承というテーマの大きさに圧倒されながら・・・
上手くいかないことがあった時、また逆に嬉しい出来事や出会いがあったとき、
私たち夫婦は、一度もこの世で会ったことの無いご先祖様たちにも思いを馳せながら、
位牌に手を合わせます。


さて、少し前置き(本文?)が長くなりましたが、今日の一句

想い出を 色鮮やかに 百日草

 おもいでを いろあざやかに ひゃくにちそう

季語:百日草(夏)

 

今年のお盆、「家族」となってはじめて、妻の家族と手を合わせた光景を詠んだ句です。

百日草は、その名の通り切ってお供えしても100日もつという花で、
ひとつひとつ微妙に異なる色のグラデーションが美しく、
百日草で特別な空間を彩るという日本の風習は、とても詩的だなぁと思います。


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