知らぬ間に花を咲かせている野草、ぬるむ風。
ようやく春の兆しが見えてきたように思います。
わたしたちが暮らす大川原集落では、来年度からの1期2年間にわたる役職を決める「選挙」が執り行われました。
2年に一度の役員改選
昨年4月に移り住んできた時に驚きましたが、大川原集落には実に30近い「役」があります。
これらのうち、主要な役について投票形式で選出していきます。
今回の有効票は23票。
区長以下、役職ごとに1人一枚ずつ投票用紙が配られます。
本人からのやむを得ない辞退の申し出や、特殊役職における区長からの指名を除いては、公平に多数決の方式で決められます。
もともと予算も大きく、組織改編に伴い所要人員が増えた『漁業共同組合』などは、大川原で8名もの役員を選ばねばならず、さすがに書記も大変そうでした。
「選挙」とはいうものの、けっして重苦しい雰囲気ではなく、会場はいつもながらわいわいと賑やか。
「ワシこの役何年しとう思とんよ、勘弁してぇなぁ~」
「これで選ばれたらワシ村出ていくで」
と、合間合間に冗談が飛び交っていました。
(ちなみに何票か私に入れて頂いた役職もありましたが、来期2年は「肩書きなし」となりました。
少しずつ引き継いでいけるように、村の先輩方の仕事をじっくりと目で見て体で覚えなければと思います。)
村人が力をあわせて地域を作る
冒頭で誰かがおっしゃっていましたが、年々高齢化が進みメンバーも少なくなっている”限界集落”において、これだけ多様な役職を分担するのは物理的に苦しいことも事実だと思います。
ただ、再選された区長曰く、
「皆さん、お忙しい中で色々役をされるのは大変だと思います。しかし、一つひとつの役があって、地域が成り立っとる。そう理解して、頑張っていただきたい」。
当の区長は、次の任期で丸10年。実はお父さんも区長で、2代続けて約20年にわたり村を治めていることになります。
「さすがに10年がひと区切りやと思ってます。一家の長期政権がこれで終わるように、という気持ちでおりますので宜しくお願いします」と笑いを誘っていましたが、その姿にはビリビリとやる気が漲っているように映りました。
大川原集落、まだまだプレーヤーは現役です。
今日の一句
春雨を ただ受くるなり 石蛙
はるさめを ただうくるなり いしがえる
季語:春雨(春)
当日はあいにくの雨天でしたが、春の雨は軽くしっとりとした「やわらかい」雨。
玄関へいざなう置き石の蛙が、どこか嬉しそうに見えました。