「いざという時」に備える消防団。
その「いざという時」が続いています。
消防団員、出動。
毎年春先に行われている伝統行事、砥峰高原の山焼き。
約90haのススキの草原を焼き尽くすさまは壮観です。
今年は、雪の影響や予定開催日の天候不良などで3たび延期され4月16日(日)に開催されました。
主催は、地元の川上集落。
火をつけていくのは住民です。
お椀に例えるとフチから底へ向かい、大きく2部隊に分かれてガスバーナーで順に点火してゆきます。
経験あるベテランが顔をそろえてはいますが、行事の性格上、山火事の危険と隣り合わせ。
地元の川上分団はじめ長谷部の消防団員も随伴します。
交流館横にポンプ車を指揮を執る本部、背負い型の消火ホース「ジェットシューター」で延焼を防ぐ部隊、給水部隊などに分かれて配置されて行事が始まりました。
すでに新聞等で報道されていますが、この日、残念なことに行事が始まって以来の悲痛な事故が起こりました。
私はジェットシューターの後方部隊。
一面焼け野原になり、イベント終了が近づいていたその時、
「ボン!」
と大きな爆発音が響きました。
「竹か何かが燃えた?」
同行の先輩と顔を見合わせましたが、判然としません。
しばらくすると無線が騒がしくなってきました。
ノイズ混じりの音声が重なる中で聴き取れた
「救急車」
という単語。
その瞬間、ただならぬ事態だと気づき本部方面へ駆けつけました。
到着すると、緊張した面持ちの先輩が手を回しながら
「ジェットシューターは全員そのまま現場へ行け!」
現場にたどり着くと、全身に大火傷を負い地面にうずくまる住民の姿がありました。
爆発音は、その方が背中に背負っていた予備のガスボンベが加熱で破裂した音でした。
しばらくして救急車とドクターヘリが到着。
車内で治療の上、ヘリで病院へ搬送されました。
25日(水)には、長谷部の管轄区域で火災が発生しました。
午前中にクライアントへ送付しなければいけないデータを待っていた午前11時過ぎ。
公民館の防災無線スピーカーがけたたましく鳴り響きました。
「●区、公民館南南東〇〇m・・・」
「火災が発生しました・・・」
「・・・火事や!!!」
居合わせた妻と状況を共有し、大急ぎで活動服に着替え。
手短に仕事の引き継ぎをして、軽トラでポンプ車庫へ向かいました。
入れ違いで、第1陣が乗るポンプ車は現場へ。
わたしと同じくらいに到着した団員を助手席に乗せて、後を追いかけました。
現場は、農地の畦際から続く法面(のりめん)。
集まった約30名の消防団員のほか福崎の中播消防署職員や神河町役場職員なども次々と駆けつけました。
幸い被害はわずかにとどまり、1時間ほどで無事鎮火しました。
火災を知らせた防災無線は今年度から配備されたもの。
初の非常鳴動となりました。
わたしはたまたま開放した窓の近くに居たので単語を認識することができましたが、場所によっては「音声が聞き取りにくい」という声もあるようです。
出動分団のエリアのみ鳴動しているようなので、わたしの場合は
大川原公民館のスピーカーからサイレンが聞こえたらポンプ車庫に駆けつける
という心づもりになりそうです。
今年、これ以上の事故や災害がないことを祈るばかりですが、気を引き締めて非常事態に備えておこうと思います。
今日の一句
サイレンに 大地轟く 山火かな
サイレンに だいちとどろく やまびかな
季語:山焼き・山火(春)
山焼きの開始前、複数回鳴らされる消防車のサイレン。
広大な草原が地鳴りするかのように、太い音が響き渡りました。