この春からわたしたち夫婦が耕作している先祖伝来の畑。
第一号野菜の有機・無農薬じゃがいもは、予想以上のできばえでした。
猿の侵略をくぐり抜けて
前夜の雨がおさまり、静寂に包まれた早朝。
突如、携帯電話の着信音がけたたましく鳴り響きました。
電話の主は、おとなり本村区の方。
「うちとこ、けさ猿が出て畑やられとるわ。おたくの畑、見に行ったったほうがえぇかもわからんで」
「ひえ〜・・・分かりました!ありがとうございます!」
実はこの日まさに、本村の畑のじゃがいもを収穫しようと思っていたところでした。
「なんちゅう嗅覚や・・・」
ハードボイルド調にため息をつきながら、荒れ果てた畑を思い浮かべました。
ところが、実際に行ってみると被害はわずか。
いくつか引っこ抜かれた跡はありましたが、それほど長くは滞在していない感じがしました。
山裾からは大通りを1本挟むので、もしかしたら何かの合図で引き上げたのかもしれません。(丸腰の人間相手だと、出会ってもふてぶてしく居座ることも多いですが)
何にせよ、ほっとひと安心。
10mほどの畝を掘り始めました。
すると、まるまると元気ないもがザクザク!
昨年まで管理してくださっていた方が上手だともっぱらの噂なので、その影響もあるのかもしれませんが、有機肥料だけで立派に育ちました。
畑があるのは、砥峰高原へ向かう県道沿い。
さらに、長谷幼稚園の向かい、長谷小学校の斜め向かいという長谷の一等地です。
幼稚園の先生や登下校の小学生たちとも自然にコミュニケーションが生まれ、作業しているといろんなひとの車が止まります。
「おお、ええのん育っとるやないか」
「上〜手に作っとるがい!」
「ほお、なかなかようできとるな・・・肥料はぼかしだけか?」
反応は上々。
重行区の耕作放棄地を活用した農園「sankira green-farm」が自分たちとしてはメインなのですが、地域の人の目につきやすさではこの本村の畑がプレゼンテーションになっているのかもしれません。
長谷の農家さんの間でも少しずつ広まっている保田式有機農法の評判にもつながったら嬉しいなと思います。
ちなみに今回収穫した品種は、キタアカリ。
男爵よりも甘味が強く、「クリジャガイモ」とも呼ばれているそうです。
じゃがバタは相性バッチリ、味噌汁など汁物だとちょっと煮崩れやすいように思います。
販路がないのに大量に作ってしまったのでどう生かすかはこれから考えますが、とりあえず軒下の筵に強いて風を通しています。
収穫した後には、本村の農家さんから分けていただいたサツマイモを植えました。
その中には、焼き芋にすると蜜が出るとも言われるほど糖度の高い安納芋(あんのういも)も。
他にはこんにゃく芋を植えているので、すっかりイモ畑になってきました。
土の健康状態を見守りながら、じっくり育てていきたいと思います。
今日の一句
新じやがの 髭のみ残る 畝の面
しんじやがの ひげのみのこる うねのつら
季語:新馬鈴薯(夏)
宝探しのように、二人で血眼になってじゃがいも掘り。
さらさらと手触りのよい土に覆われる畝の表面には、ひげ根がわずかに残るのみでした。