兵庫の”田舎”の中でも、京都や神戸へのアクセスに恵まれ、移住先として根強い人気のある丹波篠山エリア。
30年ちかく通い続けているという先達に、案内していただきました。
丹波篠山の”昼の顔”
訪れたのは、平日の昼下がり。
窯焼き古民家イタリアン「クワモンペ」でお昼を食べてから、篠山城周辺~河原町、丸山地区と散策。
街全体を人が行き来しているというよりは、団体の観光バスも停まるお城の周り、人気の飲食店など、ピンポイントで人が集まっているような感じでした。
田舎に住み、都会で働く「カントリージェントルマン」も多いのかな、などと想像をめぐらせます。
暮らしを受け継ぐこと
2013年に京都の亀岡から丹波篠山に移住したアーティスト・高木正勝さんのインタビュー記事が先日話題になっていました。
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その中で高木さんは、「70、80歳以上の人たちから実際に何かを引き継げる最後のチャンス」と感じて篠山に移住したこと、今後20~30年をその「何か」を受け継ぐことに使いたい、という想いを語られていて大きな感銘を受けました。
実際、長谷で暮らしていても、ネットで検索できない「知恵」や「霊性」とでも呼ぶべきものがまだたくさん残っていると感じますし、それを次の世代が継承していけるのは今しかないのだと思います。
”限界集落”の未来
一方で、5月に発表された日本創成会議・人口減少問題検討分科会の推計による「消滅可能性」896自治体の発表おいては、篠山市(58.7)、神河町(61.7)といずれもリスト入り(数字は、2010年から30年間での20〜39歳の女性人口の予想減少率)。
ITインフラの整備による企業誘致や「NPO法人グリーンバレー」のユニークな取り組みで全国的に注目されている、徳島県神山町も該当し、しかも減少率は「82.6」となっています。
神山プロジェクトの仕掛け人である大南さん自身が「積極的衰退」と表現している通り、地域活性化の成功事例とされる神山でさえ、人口の減少は免れないという未来を見据えています。
このテーマについて考え出すとなんだか暗い気持ちになってしまいがちですが、案内人の先達いわく
「新たに人を定住させることは難しくても、まずは時々でも灯りがともる村にするところからじゃないですか?」。
なんだか胸にすっと入ってきました。
都市と田舎のシャッフル
ちょっと重たくなってきましたが、もう少しだけ。
民俗楽器ミュージシャンの天鼓のお二人が、はるばる東京からご来店くださったときのこと。
”オーガニック”の定義や手作り味噌のコツなど色々楽しいお話を聴かせていただく中で、長野の諏訪湖そばの集落に移り住んでいるカリンバ奏者・暁天さんが、「田舎はシャッフルの時代を迎えている」と表現されていました。
つまり、これまで一方通行だった田舎→都市という流れの逆が起こってくる、という意味です。
都会を経験した人が、生まれ育った土地、もしくはさらに田舎へ移り住んでいく。
主流にはなりえなくとも、そんな現象も当面続くのでないかと思います。
【参考】[読売新聞他]田舎への定住希望が急増、20歳代で4割近くに / 内田樹インタビュー:「地方で就活」がトレンドに?
今日の一句
木枯やプリウスの往く峡の道
こがらしやプリウスのゆくかいのみち
季語:木枯・凩(初冬)
気象庁の観測における「木枯らし1号」の定義は「風速8m/s以上の北寄り(北から西北西)の風」。しばしば立冬以前に耳にしますが、れっきとした冬の季語です。
軽トラや耕耘機だけでなく、プリウスが田園を走る風景は、次世代の”田舎”の象徴かもしれません。