3月3日は「桃の節句」。
1200年にわたる鉱山の歴史とともに栄えた朝来市生野町において、毎年この時期に町ぐるみの「ひな祭り」が行われています。
生野町・銀谷(かなや)のひな祭り
かつては女の子が生まれるや雛人形の手配に奔走したとも聞きますが、今では飾る家も少なくなっているようです。
そんな中、特に旧家に眠っている雛人形を展示してまちおこしにつなげる催しが、全国で行われています。
代表的なところでは、官兵衛ゆかりのたつの市室津、豪奢な飾りがならぶ九州・日田などでしょうか。
兵庫は生野町銀谷地区で行われているひな祭りは、江戸時代に端を発し2003年にまちづくり工房として生まれ変わった郷宿『井筒屋』さんが「発起人」。今年で13回目を数えています。
最初は数軒でのスタートだったそうですが、現在では口銀谷(くちがなや)、奥銀谷(おくがなや)地域あわせて150軒ほどに。
道中、颯爽とほら貝を吹きこなす「一人チンドン屋」さんと出会いました。
会話はできませんでしたが、いったいどんなお方なのでしょう。
不思議な趣のある町です。
生野のグルメといえば・・・
前々から気になっていた、名物『生野ハヤシライス』。
昭和30年代ごろ、東京から赴任してきた鉱山職員の社宅において、奥様方が都会の味を懐かしんで作り始めたのだとか。
複数のレストランやカフェがあり迷いましたが、向かったのは銀谷から徒歩圏内の『カフェアルジャン』。
野菜の旨味が溶け出たデミグラスソースがなんとも絶品でした。
今日の一句
まなざしの深し 銀谷の雛人形
まなざしのふかし かなやのひなにんぎょう
季語:雛人形(春)
「銀山のまち」で永く大切に保管されてきた雛人形たち。
あどけない顔付きながら、そのまなざしは、栄枯盛衰の歴史を見通しているかのような深みが感じられました。