岡山県美作市を拠点に活動中のジュエリーデザイナー・山本敦史氏の個展が、丹波篠山『colissimo』にて開催中です。(10/10~11/3)
初日のトークショーにあわせて、高坂峠を越えて丹波篠山へ足を伸ばしました。
「つながる」時代
会場のcolissimoは、使われなくなった郵便局舎を改装したカフェ。
山本氏の作品展示会場は、こちらの2階にあるギャラリースペース。
木のオブジェを大胆に生かしたレイアウトが、繊細な指輪のデザインを引き立てます。
テーマは「connect/見えないつながり」。
記憶や想いをつなぐ約束の輪。
それだけにとどまらず、「どこにいても、どこかで人はつながっている。」という世界観が込められていると感じました。
トークショーでは、「隣の県に移るぐらいの感覚で、海外でも勝負したい」と語っていた山本氏。
ファッションの聖地ベルギーのアントワープで本場のジュエリーを学び、そこから東京を飛ばして岡山県美作市の田舎に制作拠点を移した彼だからこその説得力があります。
同じく日本の田舎で暮らしているわたしたち夫婦は、この場所を拠点としてこれからどんなことが出来るかを模索しているので、同世代だけれど対照的だなぁと思いました。
田舎は、自分を見つける場所!?
『colissimo』から、歩いて1分ほどの距離にある、米蔵を改装したギャラリー『rizm』。
ここで、同期間に個展「Everything Suffers/三界皆空」開催中のダグラス・ディアス(Douglas Diaz)氏のトークショーが行われました。
メンバーは、司会に東吉野村「OFFICE CAMP HIGASHIYOSHINO」を運営する坂本大祐さん、トークゲストが山本氏。
このブログを読んでくださっている方なら、聞き覚えのある名前かもしれません。
今年6月に、岡山県美作市の難波邸で行われたダグラス氏の個展にゆかりのある人たちです。
難波邸レポート記事(2015-06-11「梅雨ひとり心の奥に漂ひぬ」)
今回は、あえて日本の田舎を制作拠点に選んだクリエイター三者が縦横無尽にトークを展開。
「都会と田舎を対比するのではなく、自分に合った場所を探すことが重要」(ダグラス氏)
「ものづくりに向き合う上で、水や食べるものによってまず自分自身をつくる」(山本氏)
「一度レールを外れた人がチャレンジできない世界はしんどい。地方は、第2、第3の生き方が出来る場所」(坂本氏)
日本の都心部と地方をめぐる状況に、少しずつ、確実に変化が生じていることを改めて感じるトークセッションでした。
残念ながら、わたしはそこまで英語が堪能でないので、ダグラスのトーク中は通訳を通して話を聴いていました。
そんな中、あるタイミングで、「HAIKU」と聴こえてきました。
「ん!?」
と身を乗り出して耳を傾けると、、、
「今日会場に来ていますが、以前難波邸の個展に来て僕の作品にインスパイアされて俳句を作ってくれた人がいる。そんな風に、アートを通して影響を与えていく存在でありたい」
わたしのことです。
トークショー後に本人と話したら、なんと、ダグラスの作品にインスパイアされて作ったわたしの俳句にインスパイアされて、ダグラスもまた新たな作品が生まれたとのこと。(ややこしい・・・)
しかも4つ。
何を隠そう、本記事の見出し画像がその作品のひとつです。
「梅雨ひとり心の奥に漂ひぬ」
↓
「5・7・5」で3分割かと思いきや、4分割。
完全に、作者の意図をこえた解釈と表現です。
そんな訳で、今回のダグラス個展&トークにインスパイアされたアンサー俳句が「今日の一句」です。
今日の一句
銀漢と 華やぎ競う ニューヨーク
ぎんかんと はなやぎきそう ニューヨーク
季語:銀漢(秋)
「銀漢」とは、銀河あるいは天の川のこと。
英語なら、galaxy??
ニューヨークで生まれ育ち、若くしてコロンビア大学教授となったのちに広告ディレクターとして転身し、日本の東吉野にたどり着いたダグラス。
ニューヨークの銀河のような輝きは、今や彼には眩しすぎるのかもしれません。