梅雨のシーズンに入りました。
古民家暮らしには難の多い季節です。
雨と湿気に立ち向かう。
手紙には「拝啓 入梅の候」としたためながら、あまり準備せぬまま梅雨を迎えてしまった今年。
ここ数日間は大慌てでした。
古民家の天敵のひとつである梅雨の湿気。
雨が降りだしたら窓や雨戸を閉める。
なるべく畳の上にものを置かない。
そんな日常の心がけのほか、しばらく家を空けるときには扇風機で風を通すほか、除湿機も活用しています。
農作業にも大きな影響があります。
雨の日はもちろん、雨上がりも土がやわらかく足場が良くないので草刈りをはじめ畑作業は困難です。
あとから気づきましたが、村のみなさんが一斉に外で作業している日が何日かありましたが、まさに入梅直前のタイミングでした。
天候をふまえた農業スケジュールの立て方、皆さんさすがです。
(「そんなもん当たり前やろがい!」と言われそうです)
先人の知恵を想う。
梅雨入り前後にもっとも気になっていたのは、水のあふれがちな雨どいのこと。
おそらく枯葉やごみが詰まっているのだろうと思いながら、つい億劫になり先送りにしていました。
しかし、農作業後に納屋に道具をしまう際に柱が変色しているさまを見て、
「このまま放っておくとあちこち家が傷んでしまう!」
と一念発起。
晴れ間を見つけて、雨どいの掃除に取り掛かりました。
何でもそうですが、一か所やり始めると、
「あっちも気になる」
「こっちもやってみよう」
「もっと楽に掃除する方法はないかな」
いろいろ考えながら作業が加速していきます。
母屋、離れ、納屋と計100坪ほどの屋根まわりをチェックして回り、約1時間半ほどで作業が終了。
こんもりと苔が山になっている箇所もあり年月を感じましたが、梯子をかける位置さえ決まればそれほど大変な作業ではありませんでした。
ところどころ針金やテープで補修した跡もあり、家屋を長持ちさせるため雨どいが大切に扱われてきたことを想いました。
ちなみに雨どいのルーツは奈良時代で、もとは竹を真っ二つに切ったものが使われていたそうです。
自然にあるものの組み合わせで、少しずつ暮らしを快適にしてゆく。
先人の知恵には驚かされるばかりです。
<参考>
現代建築における樋の捉え方(『雨のみちデザイン』 隈 研吾氏インタビュー)
今日の一句
紫陽花や 苔生す樋に 落つる雨
あじさいや こけむすといに おつるあめ
季語:紫陽花(夏)
梅雨がくるたび、色鮮やかに咲きほこる紫陽花。
ゆっくりと確かに、年月が刻まれてゆきます。