ご縁がご縁を呼んで。
お墓掃除を引き受けることになりました。
意外な依頼者から、意外な依頼。
ある日の午後。
姫路での仕事を終え312号線で神河町に帰っている途中に不在着信に気づきました。
履歴を確認してみると、親類の名前。
「この季節に納涼会と称しての親族会?もしくは近くまで来ていらっしゃる?」
いろいろ勝手な想像をしながら折り返したところ、用件はなんと墓の掃除!
なんでも神河町出身のお知り合いが、足を悪くされてからなかなか墓参りに行けておらず誰かに年2回ほどでも手入れを頼みたいとのこと。
「神河町といえば、貴士くんと奈央ちゃんがおるやないか!」
と頭に電球が浮かび、電話してくださったという訳です。
とりあえずは現地確認。
しばらく手つかずの間に笹などが生えてきてはいるものの、ていねいに手入れをされていた形跡があり思ったほど深刻ではありませんでした。
「どこまでお力になれるか分かりませんが、引き受けさせていただきます」
そうお返事をして、まずはお盆前に一度大掃除。以後は年に2回ほど手入れをさせていただくことになりました。
血縁のないまちで、血縁のない人のお墓守をする—―
人生何が起こるか分かりません。
お墓が人をつなぐ。
伝え聞いたその一族のお話など本当はもう少し具体的に書きたいところなのですが、ナーバスなテーマでもありますのでこの程度に。
聞くところによると、昨今は「自然葬」や「樹木葬」が人気を集めているそうです。
また「お墓掃除代行サービス」なんてものもあるそうです。(リンクはランキング形式)
『なぜ、1代限りの「自然葬」に人気が集中するのか』(PRESIDENT 2014年10月13日号)
「田舎にはなかなか帰れないけど、先祖のお墓は気になる」
そんなニーズが少なくないのだと思います。
かつては各家庭単位だったお墓の管理を効率化するために建造した共同墓地も、今では維持管理をどうするかが深刻な問題に。
物理的に通うことが難しくなり、お墓を返還したいと申し出る人もあるようです。
一族の負担になっている面はたしかにあると思いますが、お墓が一族と土地を繋いでいるともいえます。
仮に自分が直接見に行けなくても人にお願いする。
それだけでもご先祖を大切に想う気持ちが伝わってきます。
お盆までには掃除に伺いますので、●●家のご先祖さま、もう少々お待ちください。
今日の一句
託されし 墓の歴史や 秋はじめ
たくされし はかのれきしや あきはじめ
季語:立秋・秋はじめ・秋に入る(秋)
いつの間にか、秋になりました。
お墓の歴史を拝聴しながら、しみじみと奇縁を感じました。