ゼロからイチを生み出すのは至難の極み。
一方でまた、すでにあるものを守り発展させていくことも一筋縄ではいきません。
受け継ぐ屋号の先に。
少し暖かくなったと思ったら、来週からまた積雪の予報。
どうにかならないものかと案じながら、ここ数日はもっぱらデスクワークです。
講演資料を作成していて目にとまった中小企業庁の調査。
少し古いデータですが引用してみます。
事業承継に関する現状と課題について (平成28年11月28日)
”中小企業経営者の年齢のピークは66歳に”
”直近の経営者の平均引退年齢は、中規模企業で67.7歳、小規模事業者では70.5歳”
” 2020年頃に数十万の団塊経営者が引退時期にさしかかる”。
”70代、80代の経営者でも、準備が終わっていると回答した企業は半数以下”
”後継者、株や事業用資産の整理は終わっていない企業が多い”
昨今、日経新聞などのメディアでも最近たびたび取り上げられているテーマですが、改めて具体的な数字を目にすると切迫感が募ります。
作成資料の中で、手がけてきた案件の一覧を作っていて気づいたこと。
それは、クライアント担当者の大半が県内企業の”2代目”あるいは”3代目”。
血縁の有無はケースバイケースながら、
「会社の歴史は生かしつつ、これまでと違う事業形態で勝負したい」
「今のうちに顧客層を広げないと生き残れないと思うんです」
1社1社、新しいフェーズを担う世代の切実な想いとストーリーを聴かせていただくところからお付き合いが始まっています。
思えば奇跡に近いことですが、起業当初の大学OB会での名刺配り以外、直接の営業をしたことはありません。
プレゼンテーション向けに後づけで”法則”めいたものを抽出しようとしたものの、偶然か必然かの判別は難しく・・・
案外、「なんとなく波長が合う」の世界なのかなと思いました。
事業存続あるいは発展へと舵を切る企業もある一方で、残念ながら収益悪化カーブの中で歴史に幕を下ろすケースも少なくありません。
住まいと同じく、先人の知恵と情熱と労力が注ぎ込まれた有機体。
技術やノウハウ等の経営資源を生かしながら、時代にマッチする形へと少しずつ変化していくことでこそ生まれる強さ、あるいは奥ゆきや味わいのようなものがあるような気がします。
幸福な事業承継を促す下地が、今後よりいっそう整っていくことを願います。
伝え聞く過去と、まだ見ぬ未来。
そのあいだに、日々があるのだと実感します。
今日の一句
相承の 半纏広げ 春を待つ
そうしょうの はんてんあせて はるをまつ
季語:春を待つ(冬)
まったくタイムリーではなく、『陸王』に登場したこはぜ屋が脳裏に。
葛藤の先に、きっと明るい未来が待っていると信じて。