極月の時計零時の鐘を打つ

またひとつ歳を重ねました。

暮らしの不可思議さは増すばかりです。


導かれ、歳を重ね。

 

34歳になりました。

 

前回の記事にも書きましたが、正岡子規の享年が34歳11ヶ月。

あるいは中学生時代にファンだったX JAPANのHIDEさんも享年34歳だったかと調べたらこちらは33でした。

 

カートコバーンに至っては27歳。ジミヘンも同じく27歳。

27 Club – 享年27歳のアーティストたち
ロックミュージシャンを志した人間は「太く短く生きたい」と一度は思うもの。

 

本気で「学校を辞める」と言って母親を泣かせた高校時代。

30代を長谷で過ごす未来を想像できたかと思うと、人生は本当に不思議です。


誕生日を迎えて間もなく、とあるメディアの取材が始まりました。

(年内複数回に分けて取材予定)

 

「なぜ東京に行きたかったのか」

「なぜ東京にいなくても良いと思ったか」

 

特に結婚して長谷で暮らし始めてからは、目の前のことで精いっぱい。

過去の転機や意思決定について聞かれると、自分のことなのに「あれ、なんでやっけ?」とクエスチョンマーク。

会社を辞めて、教師になる道も消えて、極貧生活を送っていた頃の話をしてポカンとされますが、その頃を思い返してもあまり切羽詰まった心情や言葉は持っていなかったように思います。

 

「先のことはわからないけど、たぶんこの方向で大丈夫だろう」

 

大物と言うほかない伴侶とともに、まだまだ長い人生が待っています。

 

↓今回の取材で思い出しました。会社を辞める時に背中を押された詩です。

自分の感受性くらい
茨木のり子

ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを 友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを 近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを 暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を 時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

 

今週末の8日(土)には、「くらし」と「しごと」のあり方を考える定期イベントをkajiyanoで開催します。

ゲストは、福崎町で10年以上靴づくりをされておられる小松尾靴工房の小松尾直利さん。

まわり道をしながらも自分の感性を大切に生きてこられたエピソードや家族とのゆるやかな協力関係など、いろんなお話が聞けそうです。仕事道具も持ってきていただく予定です。

まだ空きがありますのでご興味のある方はどうぞ。

くらしとしごと#2 小松尾直利さん|kajiyano


今日の一句

極月の時計零時の鐘を打つ

ごくげつのとけい れいじのかねをうつ

季語:極月・十二月(冬)

十二月は一年の終わり、「年の極まる」月なので極月とも。

年の瀬に向かって、光が集約していくようなイメージがあります。

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