親類縁者が一堂に会するお盆の時期。
先祖のことを間近に感じる数日間です。
長谷のお盆
お盆の長谷は、独特の賑わいがあります。
日ごろ見かけない車が家々に並び、家族団らんの景を思い浮かべます。
旧蘆田家にも義両親をはじめ妻の兄弟や親戚が集結し、いつもは広すぎる母屋が狭く感じられるほどでした。
今年、わたしたちが暮らす旧蘆田家に祐泉寺の和尚さん(通称「おっさん」)が棚経に来られたのは13日の朝。
地区ごとに順番に回っているそうで、今年は大川原集落が最後だったそう。
おっさんは気さくなかた。
なにげない雑談からはじまり、地域史の話題になると興味深い話があれこれ。
時計をちらりと見やり
「こういう話をしだすと、時間が足らへんがな」
とこぼしたとたん、場がどっと笑いに包まれました。
ルーツをたどる。
数日前に仕事で赤穂方面を訪れた際、ふと思い立って先祖の墓地にひとりで参りました。
祖父は戦後オーダーメイドスーツのテーラー業を営んでいました。
神戸のテーラーで修業を積んでから独立したようです。
日本の経済成長に伴い一時は引く手あまただったものの、既製服が主流になるにつれて事業が衰退。
晩年は苦しい状況に陥りながらも一家を支えていたといいます。
昨年1月に事務所を構えてから本格的に動き出した、現在の仕事。
アウトプットの形は案件によってはさまざまですが、仕事の8割は経営者さまのお話を「聴く」ことです。
(もちろん、お客さまから見ると、ことばによるアウトプットに期待してこその発注となる訳ですが)
もしかしたら、お客さんの体型をはかり、好みを伺い、丁寧に一着ずつ背広を作っていた祖父のDNAをどこかに受け継いでいるのかも・・・?
生前の祖父の記憶もほとんどなく、確かめようもありませんが、そんなことにも想いを馳せた今回のお盆。
身近な歴史を、聞けるうちに聞いておかねばと思います。
今日の一句
朽ちてなお 卒塔婆の重し 墓参
くちてなお そとばのおもし はかまいり
季語:墓参(秋)
山口家の墓地では、故人の戒名などが刻まれた卒塔婆を墓石に立て掛けています。
少し湿りを帯びた木片を手に取ると、わずかに重みがありました。