姫路駅前に事務所を構えて、間もなく3か月。
わたしたち夫婦の関係性や暮らしにおいて、確実に変化が生まれてきています。
試行錯誤の二拠点生活
姫路駅前の骨董屋さんの取材を終え、みゆき通りを歩いていると、ばったり高校時代の恩師と出会いました。
お互いにしばらく顔を覗き込み、「わぁ!」と握手。
「元気しとんか?今どないしとんや?」 と言われたときに、「えーと・・・」と一瞬答えに詰まってしまいました。
久しぶりに会った人に説明するとしたら、「田舎の一員として暮らしつつ、街で仕事をしている。」
という感じでしょうか。
コピーライターという職種において、いちばん重要なのはお客様の話を「聴く」ことですが、その中から本質を抽出して言葉を紡ぐ過程は、浮き袋ひとつで大海を何日もさまようような心地です。
そんな時、畑でぷくっと小さな芽が出ていることに感激したり、いっせいに活動をはじめる虫や野草たちに手を焼き途方にくれたりすることが、思いがけずコピーのヒントになることが少なくありません。
実際、街と田舎を往復する交通費もバカになりませんが、わたしにとって、この両極の「行ったり来たり」はかけがえのない”投資”だと思っています。
「解放する時間」を、少しずつ。
『谷間の家さんきら』リラクゼーションサロン部門を運営している妻も、今のライフスタイルを気に入っているようです。
さんきらの誕生日プランやご夫婦プランでプレゼントしている、野の花アレンジメント。ブックカフェギャラリー『Quiet Holiday』で毎月妻が行っているミニマッサージサロンにおいて、今回はじめて小作品をその場で制作したのですが、とても楽しい時間だったようです。
本人曰く、「ときどき雰囲気の違う空間で過ごすと、創作意欲がわいてくる」のだそう。
竹カゴにどっさり積んだ野の花を、黙々と園芸バサミで細工している姿を見ていると、「何の制約も無ければ、本当はこういうことがしたいのかな」と思えてきます。
「しばらくは我慢の時」と二人で覚悟して走り始めたものの、昨年は、文字通り「生きるか死ぬかの瀬戸際」。
新婚早々ずいぶんと大変な思いをさせましたが、少しずつ精神的ゆとりが出てきているようで嬉しく思います。
しばらくは、建前や世間体でなく、心からチャレンジしたいことをゆっくり形にしていく時間にしてくれたらと思っています。
今日の一句
新妻や 弥勒の手なる 春の暮
にいづまや みろくのてなる はるのくれ
季語:春の暮(春)
「春の暮」は、春の夕暮れどき。(ちなみに「暮の春」となると晩春の季語です。)
色んな意味で過酷だった夫婦の冬を越えて、迎えた春。
手放しに喜んでいるかと思いきや、弥勒菩薩のようなアンニュイさで物思いに耽るひとときもあるようです。