地の神に祈り捧げし日の盛り


日本には、古来より「地の神信仰」が根付いているといいます。

大川原集落の氏神様を祀る大歳神社にて、「夏の例祭」が執り行われました。


夏の厄災を祓うための神事

大川原集落では、毎年7月に例祭が行われます。

なぜこの季節に行われるかというと、夏場特有の日照りによる作物の病害などの厄災を祓い、無事に乗り切れるようにとの考えからだったそうです。

今と違い、自然の災害は、飢饉すなわち生命の存続に直結する脅威だったのでしょう。


今年は、7月11日(土)に準備、翌12日の午後に神事と直会(なおらえ)が行われました

わたしは祖父の13回忌が重なってしまい、準備には参加できなかったのですが、これがたいへんな激務だったそうです。

午前中は、神社役員が中心になって行う(のぼり)立て幕張り、老人クラブが境内や神殿の清掃にくわえ、氏子全員で神社前の管理道路や法面(のりめん・・・川沿いの斜面)の草刈り。

そして午後には、6月には蛍が乱舞していた犬見川沿いの草刈り

あらかじめ区長には欠席の連絡をしていましたが、よりによってこんなときに休むのは気まずいものです。

神事当日の朝8時には、町内一斉のクリーン作戦(大川原住民にとっては超過密スケジュールの2日間でした・・・)

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出会いがしら、

「おまぇ~、昨日どんだけ大変やった思とんどぃ!わしらトシやのに今日もまたひと仕事やがな」

と先輩方から冗談まじりにせめられて、いつも以上に小さくなったのは言うまでもありません。


仏のまねをして生きる。

奇しくも、例祭の準備の日が実家の法事。

ちなみに、わたしの実家は仏教徒、なかでも代々真言宗です。(長谷地区では、禅宗が多いようです。)

高校を卒業して実家を出てからは、ほとんどお盆にしか和尚さんとお会いする機会がありませんでした。

お盆は、言うまでもなくお坊さんの繁忙期。お経もショートバージョンで、足早に帰っていかれるのは致し方ないところでしょう。

しかし今回は、はじめて聴く節つきのお経などもあり、ゆっくりとお話をきかせていただく時間もありました。

テーマは、「日本人と信仰心」

海外においては、キリスト教やイスラム教に代表されるように、あるひとつの神への信仰心を明確にもっているのが”あたりまえ”。

ところが日本の場合、「わたしは無宗教です」とこたえる人も多く、海外では怪訝(けげん)な顔をされるそうです。


お上人いわく、日本人の根底にあるのは、原始宗教、自然宗教ともいうべき、自然に存在するものに霊性を見出すというDNA。

たとえば、「ものに魂がある」という発想もそうです。

「たいせつな花瓶や茶碗を割ったら、バチがあたる。」という感覚は、たしかに、”なんとなく”みんなが持っているような気がします。

わたしたち夫婦の場合は、家を住み継いでいるので、なおさらこういった感覚が強いです。

床の間や障子などの家具、茶器や食器、農機具や石畳まで、「粗末に扱うとバチがあたりそう・・・」とけっこう本気で思っています。

毎朝お水を替えるようになってからお仏壇の仏さまには人格さえ感じるようになってきて、仏壇の水を替え忘れたときや、仕事のつごうで何日か家を空けたときには、どこか申し訳なく、「すみません」という言葉が出てきます。

お上人いわく、仏教のめざすところは「仏のまねをして生きる」こと。

ずいぶんと遠い道のりですが、よくよく仏さまの観察をしようと思います。

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”移住者”も、土地神さまの氏子。

仏教の根底に流れているのは、どんな人も、暮らす土地の神様に守られているという思想です。

ライフスタイルが多様化している今、場所にとらわれず暮らすいわゆるノマドワーカーも少なくなりませんが、基本的には住所を置いている土地を守る神様の氏子ということになるのだろうと思います。

わたしの場合は、昨年1月に住民票を移して以降は、大川原集落の土地神さまが祀られている大歳神社の氏子です。

ですので、やはり氏子のひとりとして、氏神様をたいせつに守る役目があると思います。


都会から移り住むと、神社の手入れや沿道の草刈りなどもふくめ、”田舎”特有の仕事の多さに仰天します(特にこの季節は行事ラッシュ!)

特に去年は、「なんで、こんなにも・・・」とたびたび思いましたが、今は少し違います。

自分がこの環境の中で仕事や農業に思い切りのぞむことが出来るのは、この環境を誰かが守ってくれているから。

それは、ほかの誰でもなく、村の住民です。

不規則な暮らしでじゅうぶんに貢献できない部分もありますが、やはり、その一員であるという自覚は常に持っていたいと思うのです。

「田舎の環境で自由にスローライフを満喫したい!」と考えている人には少し堅苦しくきこえるかもしれませんが、村の方と同じ苦労や楽しさを共有することではじめて見えてくる”田舎暮らし”の醍醐味もあるのではないかと思います。

大変ですけどね。


今日の一句

地の神に 祈り捧げし 日の盛り

ちのかみに いのりささげし ひのさかり

季語:日の盛り(夏)

神事がおこなわれたのは、梅雨晴れ間の蒸し暑い昼下がり。

神主さんも氏子も、汗をぬぐいつつ、この夏を無事に過ごせるよう祈りを捧げました。


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