訪ね来し友と連れ立つ蛍狩

少しずつ東京との接点も。

前職の仲間とともに、神河町で都会の親子が学ぶプロジェクトを企画しています。


都会のこどもたちが神河で学ぶ。

 

「あんたは普段いったい何をしとんや?」

村の打ち上げで冗談交じりに尋ねられ、思わず苦笑い。

「そう言われると・・・何をしてるんでしょうね」

ドッと笑いが起こりました。


「山口が外にいれば行動がだいたい把握できるが、kajiyanoの中で何をしているのかわからない」

それが会話の本題ではありますが、正直なところ具体的にどんな仕事をしているかと聞かれると困ります。

売り物があってそれをセールスする仕事ではなく、クライアントの悩みや要望を伺い、その解決や事業の発展に向けて提案する仕事。

その意味では常に「受け身」(寄り添う役目)であり、仕事の内容はクライアント次第です。

最近は店舗リニューアルや商品開発にも携わる案件が出てきており、前職である広告会社の延長線上の業務になってきているといえます。


そんな中、今年は古巣の仲間と仕事をすることも出てきました。

今年の2月には、博報堂DYグループとのコラボレーション企画が実現

町長にも中継出演していただき、都心部の中高生が神河町の体験型ツアーを考えるワークショップが開催されました。

グランプリも決定し、「前向きに進めていきましょう!」と和やかに幕を閉じました。

 

時を経て、5月。

「神河町ツアー実施の件で改めて相談したい」という連絡がありました。

彼が関わっている千葉県柏市のまちづくり事務局「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」では、「未来こどもがっこう」のという学びのプログラムを主催しています。

2月の神河との連携ワークショップをきっかけに、夏休み企画として、8月の下旬で2泊3日、千葉~東京の小学生親子10組想定で体験学習型ツアーを実施したいとの提案がありました。

公的な側面もあり、自分だけで受けられる話ではないと判断してまずは役場へ相談。

しかし役場としても長期計画に基づいて予算取りや業務の割り振りをしている中、突発的に発生した案件に対して予算や人を付けることは難しいとの回答。

結果的に、わたしと妻が実施に向けての調整を行うことになりました

ツアーの協力先への挨拶と事前視察のため6/14-15にかけて事務局スタッフ複数名が来町することも決まり、急ピッチで作業を進めていきました。


ツアーを企画している同期とは、新卒入社から3年間、三井不動産担当チームで切磋琢磨した間柄。

お互いの信頼関係もあり、仕事の進め方やスピード感もおよそ把握しています。

要所は電話で相談して感触を確かめながら、チャットで日々進捗を共有して企画をブラッシュアップしながら約1ヶ月でおよその枠組みができました。

 

当事者のわたしたちにとっては自然な流れで企画が形になっていき、迎えた事前視察。

農家さん、地域のお店、宿泊施設、キャンプサイト、役場.etc

2日間の行程表はビッシリと埋まりました。(水曜と木曜だったので1日目のオープニングでお世話になるお店などに行けなかったことが悔やまれます)

行く先々で聞かれるのが

「なんでまた兵庫県の神河町で?」。

「そこは、人のつながりですね」

事務局メンバーが答えるたびに、キョトンとされるという場面が何度もありました。

実際、「未来こどもがっこう」の活動を外部へ広げていくことを考えると、現地で動ける人間がいることは大きいのだそうです。

 

今回の企画は、観光や史跡巡りではなく、地域の人と出会い交流し、地方のリアルな暮らしに触れ生きる力や知恵を学ぶことがその目的。

「地方にお金を落としてもらう」という消費のモデルではなく、まちづくりの先輩として地方の暮らしに学び、「あの地域の人たちはすごい」「面白い」という感動や気づきを自分たちのまちに持ち帰るという学習のモデルといえます。

いわゆる2025年問題も控え、日本の都市部において人口バランスの崩れや消費落ち込みによる経済的リスクが懸念される中、都市部と地方が何らかのコラボレーションを模索していくような時代に突入していくのかもしれません。

いろんな可能性が広がるきっかけとなることも期待して、こどもたちと保護者にとって充実したツアーとなるよう引き続き準備していきたいと思います。


今日の一句

 

訪ね来し 友と連れ立つ 蛍狩

たずねきし ともとつれだつ ほたるがり

季語:蛍狩(夏)

同期はいまや入社9年目。

東京の街でともに過ごした日々を回想しながら夜の犬見川へ向かうと、今年いちばんの蛍の群れが迎えてくれました。

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