根の揺れて子水葱漂う青田かな

有機稲作は、哲学。

”雑草”とは何か?考えさせられます。


敵か?味方か?”雑草”コナギ

おかげさまで、2018年産のコシヒカリ玄米/精米は完売。

梅雨に入る前にちょうど売り切れて、ホッとしています。

ヤマダストアーでコンスタントに売れていて、リピーターがついているのが売れ行きが少しずつ加速しているような感覚もある中での販売終了となりました。

玄米のリピーターさん

さて古来より米づくりは雑草との戦いだったといいます。

長谷でも、「幼少期によく田んぼの草取りをさせられた」と聞くことがしばしば。

夏の盛りに田んぼの泥を歩き、かがみ、草を取る・・・

この重労働が少しでも楽になるようにと発明されたのが、木と鉄を組み合わせた除草機。

通称「ごぶり」です。(方言?でしょうね)

ごぶり

さらに。

人間の進歩はすごいもので、その後は農薬・除草剤の発明により効率的な抑草が可能に。

除草剤の普及とともに、もはや草取りのために人間が田んぼの中に入る必要はなくなっていったのでした。


時を経て。

1970年代から、化学農薬や肥料を多量に使用した多収穫モデルへの反動でもある有機農業のムーブメントが誕生。

アイガモ農法をはじめ、自然界にいるもの、あるものだけを使用した米づくりについて年々研究と実践が重ねられて現在に至ります。

抑草の基本は、深水管理です。

毎年のようすをみていて、少なくともヒエの発生はほぼ確実にこれで抑えられます。

また雑草発生の抑制に期待されるのが、深水管理と、その水面に発生する「ウキクサ」と「藻」。

いずれも、光と酸素を遮断することで雑草が生育しにくい環境を作ってくれると考えられています。
ウキクサ
藻。

一番厄介な相手が、「コナギ」という雑草。

他のも混じってますが、これです↓ ため息・・・

後手にはなりますが、先ほどご紹介した「ごぶり」や電動除草機、チェーン除草(田植え機の後ろにつけたチェーンで掻き起こす)といった手法で、田植え後7日後くらいから、苗のようすもケアしながら一度は除草するのがスタンダードです。
コナギの対策も基本は深水のはずなのですが、いっしょに取り組んでいる農家さんの田んぼでも、田植え直後から深水にしていても、一度は除草しないとどうにもならない状態。
「そもそも」が気になり、自分なりに仮説検証をしながら調べていると「貧酸素状態で発芽が促進されるのがコナギの特徴」という情報と出合いました。
コナギ(子水葱、こなぎ)|田力ノート  万葉集や各時代の文献からの考証が面白いです。

つまり、「深水で酸素と光を遮っても、むしろコナギの生息を促してしまう」という恐ろしい仮説。

どうやら今のやり方ではコナギの発生自体は諦めるしかないように思います。


コナギは「子水葱」と書きます。

先ほどの記事では、万葉の時代から、古人はコナギを塩漬けにしたり乾燥したりして食していたとの記録が紹介されています。

ということは、みんなでコナギを食べれば問題解決?

・・・暑さと忙しさで頭がちょっと疲れているかもしれません。

>現在の農薬を使わない稲作で最も問題となる雑草がコナギである。しかし江戸時代の農書には不思議とコナギの記述に出会わない。この頃の農書に良く登場するヒエクログワイオモダカやヒルムシロであるが、これら雑草と異なり、コナギは農民にとって別の視点で捉えられていたのかもしれない。(同記事)


今日の一句

根の揺れて子水葱漂う青田かな

ねのゆれて こなぎただよう あおたかな

季語:青田(夏)

今のところは、米づくりの”邪魔もの”。

わがもの顔のイネのあいだに、プカプカとコナギが浮いています。

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