人生、いつ何が起こるか分かりません。
自然のクーラーを味わった日の夕方に、思いもよらぬ大惨事が起こりました。
田んぼ仕事をあれこれと。
久しぶりの、作業日。
午前中は、村の先輩と来期のためのぼかしづくり。そして午後には、水漏れが気になっていた尻水(しりみず・・・水を抜くための排水口)の補修と土壌改良剤の散布をしようと計画していました。
田植え長靴でドブンと田んぼに入り、ぬかるんだ泥をあつめては排水口のすきまに詰めて約30分。
その後、村の共有機材である10㎏収容の散布マシンを背負って作業開始。
長いホースの穴から出る放出量をレバーで調節しながら、畦をぐるりと回ります。
1aあたりの施肥量が決まっているので、いかにまんべんなく撒くかが勝負です。
レバーを絞りすぎると重いタンクを背に何周もしなければいけませんし、開きすぎると、ムラができてしまいます。背中にどれぐらいの量が入っているか、勘も必要です。
最初は苦戦して5周したこともありますが、何度か使用する中でだいぶスムーズに行えるようになり、今回はほとんどロスなくちょうど1周ずつで撒き終えることができました。
(使用後は、混合油を満タンにして倉庫に返却します。)
慣れたときが一番危ない。
これで今日はおしまい!のはずだったですが、魔がさしました。
「もうひと仕事、ついでに畦の草刈りもしておくか」と、そのまま草刈り機を持って作業を開始したのです。
いまや田舎の生活には欠かせない電動の草刈り機ですが、一歩間違うと大けがにつながる危険性もあります。
本来は、石から顔を守る防護用フェイスマスクや、スリップ防止のためのスパイク長靴、振動止め手袋などをフル装備で使用しなければなりません。
ところが慣れてくると軽装備になりがちで、この日にいたっては、丸腰でしかも田植え靴で斜面の作業をしてしまいました。
畦の斜面は、アスファルトの塀の上。伐り倒した竹が散らばる地面からの高さは約1.5mほどです。
「ツルッ」と濡れ草に足を滑らせたと思った次の瞬間に、草刈り機の刃がフル回転したまま、あおむけに落下!
ほんの一瞬のできごとでしたが、
「この刃が顔に当たったらどうしよう」
「とりあえず電源切らな」
「ケガしたら明日からどうしよう」
と、あれこれ考えたので、”スローモーション”の状態だったのだと思います。
視界には、夕暮れの空。
さいわい刃は体にあたりませんでしたが、左足に違和感があり、起き上がることができません。
妻の名前を呼ぶも返事はなし。
左右に首を振ると、切り倒された竹や木の合間に群がる、見たことのない虫たちの顔。
「このまま発見されずに死んだら、仲間入りして土に還るんだな」
そう思うと、怖くもあり、一方でなんだか寂しさが紛れるような気がしました。
30分ほどして、なかなか帰ってこないことを心配してようすを見に来た妻が、倒れたままのわたしを発見。
「助かった・・・」
手を引っ張ってもらい立ち上がったのですが、このとき、よりによって負傷した左足を「ギュン」と踏まれてこの日一番の叫び声を上げたことを記録しておきます。
翌日神崎総合病院でレントゲンをとってもらったところ、「左足の甲の、指4本の付け根が折れてるね」と全治2ヶ月の診断。
30年間大きなケガや病気とは無縁でしたが、ここにきて、まさかの松葉杖生活がはじまりました。
今日の一句
炎昼の支えとなりし祖父の杖
えんちゅうの ささえとなりし そふのつえ
季語:炎昼(夏)
事故の翌朝、病院までどうやって向かおうかと案じているときに、蘆田家のご先祖の杖が遺されていることを思い出しました。
うだるような暑さの中、わたしには少しみじかい杖で、アスファルトを少しずつ進んでゆきました。
大変ですね。
ゴーグルやマスクはしたことありますが、スパイク長靴や振動止め手袋は使ったことないです。
今はいろいろ装備があるんですね。
お体ご自愛ください。
お気遣いありがとうございます。
ベテランの皆さんならまだしも、初心者が横着しては駄目ですね。
安全第一!
振動止め手袋は、けが防止ではありませんが、長時間の草刈り作業による手の震えを防ぐものだそうです。(村の先輩に薦められてホームセンターで買いました)
スパイク長靴は、日常的に使っておられる方もいますね。