作物の育ちに、時間のたしかな流れを感じます。
以前の記事にて経過をレポートしましたが、8月より4ヶ月にわたり受講した有機農業研修がいよいよ最終回を迎えました。
農業は宗教!?
ひとくちに有機農業といっても、その捉え方やアプローチはさまざまです。
私たちが教わっている保田茂先生の信念のひとつは、「うまい野菜は土が作る」。
自然状態の土のサンプルは、山にあります。山では、腐葉土が堆積して草木が青々と繁茂しています。
「畑でも同じ環境を作り出せるはずではないか」。
先生はそう考え、神戸大学在職時から独自に研究を深化。約3年前に今の「保田式」有機農法が完成したといいます。
「第三者が悪用しないよう一応商標を取っている」とのことですが(「HYS低温発酵有機資材 保田ぼかし」)、そのセオリーはほぼ無償で公開。
「動物性の糞や未発酵有機物は使うべきでない」という独自理論や、オリジナルぼかしの配分比などを各地で説いて回っておられます。
午前の最終講義の中で、地主の宗教上の理由(「畑には畑で出来たものしか入れてはいけない」等)で実践が難しいと発言された方がいました。
先生いわく、「まぁ僕も保田教みたいなもんです」。
教室がどっと沸きましたが、それも確かな裏付けと自信があるからこそのお言葉。
ニヒルな笑みがきらりと光っていました。
実際に食べ比べ。
午後からは、9月に植えた大根の収穫を行いました。
保田式は「遅効型」で、1年目はあまり大きくならず、その土地で3年くらいかけると大きなものが収穫できるようになると聞いていたのですが、じゅうぶんに立派なサイズでした。
品質を確かめるべく、同じ日に収穫した、化学肥料を使う従来式農法で作られた大根と食べ比べてみることに。
すると驚いたことに、有機農業で作った大根の方が、明らかにみずみずしく、甘いのです。収穫まで半信半疑だった人も少なくなかったようですが、老若男女約20名の受講者がそろって納得した様子でした。
今日の一句
天と地に 理のあり 初大根
てんとちに ことわりのあり はつだいこん
季語:初大根(冬)
地中の水分をいっぱいに含み、青々と育った大根。手を掛けたのは、最初の土づくりと、一度の間引きだけです。追肥もなし。
人が育てたのではなく、土が育ててくれたのだと実感した収穫でした。
ただ、研修の種まき(9/18)より約10日後に植えた自分の大根は、可哀想なくらいにガリガリ。
先生に報告したら、「秋冬の野菜は、1日遅れると収穫が1週間遅れる。2日遅れると2週間、3日遅れると・・・」
「もうやめて~」と思いました。
天地のルールにしたがい、失敗を糧にリベンジしたいと思います。