梅雨晴や二足並べる田植靴


車があり、炊飯器があり、洗濯機がある。

便利な暮らしの中で生まれ育ったわたしたち世代は、「元がどうだったか」を後追いで知るということが往々にしてあります。


先人の知恵あっての稲作。

昨年はじめて挑戦した米づくり。

村の先輩に手取り足取り教えていただいて、カルティック農法という土壌づくりを大切にする農法により初年度にして兵庫県平均レベルの収量を確保することができました。

われながらたいへん味も良く

「一年目でこんなにおいしいお米がたくさんできるなんて!」

と驚きとともに大きな喜びを感じました。


しかし、今思えばそれは確立された効率的な農法による賜物でした。

慣行農法に比べれば微量といえる範囲ながら、田植え後の除草剤や硫安などをマニュアル通り行ったため大きなトラブルはありませんでしたが、有機農法に挑戦している今年は早速問題が続発。

いちばんは雑草の繁殖です。

有機農業研修の指導にしたがい水の深さや温度によりヒエやアワの繁殖は抑えられたのですが、コナギという背の低い草がイネとイネの間を埋めるようにぎっしりと生えています。

考えてみれば当たり前の現象。

逆に、昨年の除草剤がいかに効いていたか実感しました。


除草の方法あれこれ。

では除草をどうするか。

いちばんシンプルな方法は手で抜くことです。

かつては何日もかけて手作業で行っていたそうですが、少量ならまだしも2反近い田んぼ一面にはびこっている草をすべて手で取るのは容易なことではありません。

 

その負担を軽減するために生まれたのが、手押し車の車輪に爪がついたような「田車(たぐるま)」という道具。

コナギなどの雑草を根から掘り起こし、水面に浮かせて枯らせます。

(あるいは、地中に埋め込むことで発育を抑制)

これまた大変です。


しかしご安心ください(?)

有機農業の世界も日進月歩。

電動草刈り機の先に装着する回転式の除草機、その名も『アイガモン』という道具があります。

(ネーミングはアイガモ農法に由来?)

大川原集落有機農業チームの先輩が早速ゲットしていたのでお借りしました。

一条ずつ確実に刈っていくことができ、小回りがききます。

ただ、泥に足を取られながら一条ずつ何往復もしていくのはけっこう骨が折れる作業でした。


さらに1ランク上の機材としては、電動式の水田除草機があります。

幸いなことに、お世話になっている有機農業研修受講者の方からお借りすることができ、半日ほど使用しました。

アイガモンに比べると小回りがきかず列からはみ出て植わっている苗を避けるのが難しい点はありますが、一度に4条ずつ進んでいけるので効率的です。

特に水田除草機のほうは機械が大型で目立つため

「何をやっとんや??」

と呼び止められることもしばしば。

ひととおり説明するのですが、みなさん感心するような呆れるような顔・・・(笑)

わたしも作業の膨大さに呆然としながら草を取り進めました。


牛に土を踏ませる代わりに、耕運機。

草を手刈りする代わりに、草刈り機や除草機。

先人たちの苦労の上に、技術の進歩が重ねられて今日の農業があります。

歴史の重みを受け止めつつ、米づくりの原点を垣間見るような今年の米づくりです。


今日の一句

梅雨晴や 二足並べる 田植靴

つゆばれや にそくならべる たうえぐつ

季語:梅雨晴・田植(夏)

不安定な梅雨の時期にときおり訪れる晴れ間。

夫婦おそろいの田植靴を天日で干しました。


兵庫県姫路市生まれ。早稲田大学大学院 教育学研究科 修了。専門は江戸の初期俳諧。 総合広告会社(博報堂DYホールディングス)を経て、2014年兵庫県神河町に移住。2015年起業。2020年より株式会社OFFICE KAJIYANO 代表取締役 俳句結社「姫路青門」所属

2件のコメント

  1. おそろいの“田植え靴”、ほのぼのして素敵ですね(^_^)♪

    1. >高橋陽子様
      妻も今年購入してお揃いになりました。
      「田んぼに入れるようになって嬉しい」と言っています。

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